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種村俊彦 優秀卒業論文 | 経済学研究科

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(1)

平成

17

年度卒業論文

インターンシップと就職活動について

所属ゼミ

竹安数博ゼミ

学籍番号

1023011059

所属学部・学科

経済学部・経済学部

氏名

種村俊彦

(2)

論文要約

本論文では私自身の経験からインターンシップの現状と就職活動との関係性を建前では なく本音で明らかにすることを目的としている。しかし内容のほとんどが自らの経験から 導き出した独自の考えであり、論文を読む学生にはここで私が述べていることのみが全て ではないということを始めに確認しておきたい。ここでの情報を鵜呑みにするのではなく、 各自が自分なりに有効活用してもらえれば幸いである。

第1章ではインターンシップの全体像を理解してもらうために、インターンシップを「(1)

企業の公募によるインターンシップ」と「(2)行政関連・公的団体によるインターンシップ」

の2つに分けて内容・時期・報酬・選考・学生の利用率の5項目を解説する。

第2章では私自身の経験に基づき、インターンシップの経験が特に就職活動で役に立っ たことを実務経験・意識・人脈の3点についてまとめる。

第3章では大阪府立大学生のインターンシップに対する意識を調べるためにアンケート

調査を行った(しかし、参加者の意見を聞くために学外の学生にもアンケートを依頼した)。

その回答からインターンシップの現状や利点を明らかにし、学生側と学校側の課題を交え ながら解説する。

(3)

目次

第1章 インターンシップとは

1. インターンシップとは

2. 種類と内容

3. 参加の手順

4. 企業側の意図

5. 就職活動の準備としてのインターンシップ

6. 現状

第2章 就職活動で役に立ったこと

1. インターンシップは本当に就職活動で役に立つのか

2. 実務経験

3. 意識

4. 人脈

第3章 アンケート結果から見るインターンシップ

第4章 まとめ

参考文献

(4)

第1章 インターンシップとは

1. インターンシップとは

インターンシップとは学生が一定期間企業等の中で研修生として働き、自分の将来に関 連のある就業体験を行える制度のことである。近年若年層の離職率の高さが深刻化する中 で、学生の企業や業界への理解を促進させて企業と学生のミスマッチを防ぐということを 重要な役割としている。近年ではインターンシップと言っても研修生として働く以外にも 様々な種類がある。以下でインターンシップについての概要を明らかにしていく。

2. 種類と内容

インターンシップには大きく分けて 2 種類ある。企業の公募によるインターンシップと

大学などに寄せられる行政関連・公的団体によるインターンシップである。一般に学生が

インターンシップと認識しているのは前者のほうであろう。以下、2つに分けて大まかな内

容を記す。

(1) 企業の公募によるインターンシップ

前述のように、こちらが一般に学生が「インターンシップ」として認識しているも のであろう。企業が催すインターンシップを自身のホームページや就職情報サイトな どで募集を募り、参加希望者を集めて選考し、インターンシップを行うというものが 一般的である。

A. 内容

インターンシップを行う企業の業界や業態も様々であるように、内容も様々であ

り、企業の説明とグループワークを1日のみで行うもの(1Dayインターンシップ)

もあれば、1 週間∼1 ヶ月程度でOJTとグループワークを経験するものもある。ど

のインターンシップにおいても共通するのは、OJT の業務の違いなどはあっても、

プログラムの中でグループワークを行うということ。何か課題を与えられてそれに 対する答えを集団で導き出そうとすること、またその過程を経験することも、業務 を経験するということ以外に貴重な経験になる。

B. 時期

時期については夏休み(8月)を利用するものが最も多く、冬(12 月)や春(2

(5)

C. 報酬

報酬については各社様々だが、OJTに関しては基本的に報酬は出ると考えてよい。

業務の見学などが主な内容の場合は報酬が出ないことが多く、交通費・昼食代とい

う名目で1日あたり1500円∼2000円程度が支給される。中には遠方に住む学生の

ために交通費や宿泊施設までも用意してくれる親切な企業もある。

交通費や宿泊費が出ないところもあるが、多少の金銭的な負担があってもその時 にしかできない貴重な体験ができることは間違いないので、興味のある企業のイン

ターンシップには積極的に参加することを私はお勧めしたい。実際、私はOJTの報

酬しか出ないインターンシップ(OJTは全体のプログラムの半分のみで、時給800円)

に新宿にウィークリーマンションを借りて参加した。確かにお金はかかったが、そ の分得るものはとても多く、その後の就職活動においても相当役立った。

D. 選考

選考については期間の長さや内容などで変わってくるが、 基本的にエントリーシ ートを提出して面接をする。稀にエントリーシートのみで選考する企業もあるが、 参加者の人数がそれほど多くない企業ではほぼ確実に面接があると思ってよいだろ う。選考突破のポイントとしては、やはりインターンシップに対する熱意が最も重

要であるように思われる。その中で「なぜその企業のインターンシップなのか」「イ

ンターンシップで何を得たいのか」ということを明確にしておくことが大切である。

E. 学生の利用率

では実際どの程度の学生がインターンシップの制度を利用しているのか。第 3 章

のアンケート結果でもその あたりは触れるが、私が就職活動を経験してきた上での 感想としては、インターンシップは多くの学生が思うように敷居の高いものではな く、一般化してきたように思う。実際にインターンシップを催す企業は年々増加し ている。しかし、一般化してきたからこそどのような目的でインターンシップに参 加し、そこで実際に何を得たのか・何を考えたのかということがより重要になって くるだろう。

(2) 行政関連・公的団体によるインターンシップ

このインターンシップはあまりなじみがないかもしれないが、これは行政関連・公 的団体(例、堺市経営者協会)から大学に募集が寄せられるインターンシップである。 実際に研修する企業は行政関連・公的団体に所属する地域の民間企業や市役所などで ある。選考や内容なども企業の公募によるものとは異なるところが多い。

A. 内容

内容についてはこちらも様々で、行政関連のイベントスタッフのようなアルバイ

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ンシップであり、企業の公募のものと違って企業のプロモーションに終始すること なく、必ず就業体験ができて当たり外れがないということも特徴である。しかし、 給与は原則的になく、実際の選考にはほとんど関係がないなど、大学を仲立ちとす るが故の特徴もある。

B. 時期

こちらも主に夏休みを利用するものが多く、大多数を占める。冬にも募集がある ようだが数は少ない。

C. 報酬

報酬に関しては企業の公募によるものとは違い、内容はOJT中心だが報酬は原則

的にはなし。

D. 選考

選考は大学で行われるということ。参加は大学からの推薦という形なので、応募 者数が少ないが辞退もできない。その選考も基本的にはなく、条件さえ合えばあと は本人の意思次第というところが多い。そして、その後企業自身かその所属団体で 選考を受けることになるが、これも配属等を決める色合いが濃く、そこで合否が決 まるということではほとんどないそうだ。

E. 学内の利用状況

OJT で確実に就業体験ができ、選考もあってないようなもの。こうして見ると企

業の公募のものに比べて参加しやすそうだが、実際の利用者はとても少なく認知度 が低い。大阪府立大学ではインターンシップに関する学生側に対する情報提供を大 学が積極的に行っていないため、このような制度があることすら知らない学生も多

いようだ。実際に2005年6月初め時点(夏の正規の募集期間は終了)で参加者はま

だ10人であった。学生が積極的に情報を手に入れようとしない限り、このような貴

重な体験の機会を逃すことになるだろう。興味のある方は一度学内の就職課へ足を 運んでみるとよい。

3. 参加の手順

(1) 企業の公募によるインターンシップ

インターネット(企業ホームページや就職情報サイトなど)でインターンシップの参加

状況を確認→Web上でエントリー→エントリーシート提出(1次選考)→(筆記試験)→面接

(集団or個人、2次選考)→参加決定

※ 募集・エントリーはほぼWeb上で行われる。

※ エントリーシートはWeb上のものと郵送のものに分かれる。

※ 筆記試験を課す企業は少ないが、例外もある。

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(2) 行政関連・公的団体によるインターンシップ

大学の就職課で募集企業(団体)の情報収集→学内で選考(書類提出と条件の確認程度)→

団体・企業での選考→参加決定

※ 選考は企業の公募のインターンシップに比べると厳しいものではなく、競争率も現状 ではそれほど高くない。

4. 企業側の意図

企業側がお金を掛け、多くの社員を巻き込んでインターンシップを行うのはなぜだろう か。表向きには学生と企業のミスマッチの解消や、企業や業界への理解の促進であるとさ れているが実際はどうなのか。確かに人事担当者だけではなく、一般の社員が学生の指導 をすることでマネジメント能力の向上や職場の活性化にはつながるかもしれない。しかし、 インターンシップに実際に参加し、就職活動を終えた私はそれだけではないように思う。

インターンシップは将来入社する可能性のある学生に向けたものである。つまり青田買 いの要素があるということである。私はインターンシップに参加した企業に就職を決めた が、その経験も含めてそのように思う。実際に中長期のインターンシップを行う企業のほ とんどは参加者に対して、インターンシップ参加前に選考をする代わりに、本採用の選考

上なんらかの優遇(選考過程の免除やインターンシップ生の別枠での採用)を行っているこ

とも事実である。また、私が就職を決めた企業ではインターンシップで評判の悪かった学 生は採用されていない。

したがってインターンシップは企業にとっても立派な採用活動である。就職活動前の早 い段階で自社に興味がある優秀な学生を集めて業務を体験してもらい、より自社への興味 や理解を深めてもらう。そしてその中でさらに学生を評価して本採用の選考の参考にする。 こ こ で イ ン タ ー ン シ ッ プ に 参 加 す る 学 生 に 注 意 し て も ら い た い こ と は 、 学 生 は た だ 単 に

OJT を経験させてもらうというだけではなく、行動のひとつひとつが企業側に常に評価さ

れているということを意識して日々の研修に取り組まなくてはいけないということである。

5. 就職活動への準備としてのインターンシップ

まだ自分のやりたいことも決まっていない大学 3 回の早い時期に、どんなインターンシ

ップに参加してよいか分からない、そう思う人も多いだろう。そんな人は「就職活動の準 備、予行演習」としてインターンシップの選考に臨んでみてはどうだろうか。

前述のように、インターンシップに参加するにはいくつかの段階の選考を突破しなくて はならない。その選考過程は就職活動の本採用の選考過程に比べると簡略化されているも

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経験するアルバイトなどの選考とはまた違ったものであることは言うまでもない。就職活 動が本格化する前に企業の人事による選考とはどういうものなのか、またはどのような雰 囲気の中で行われるのかということを知っておくことも重要である。さらに夏のインター ンシップの選考から本採用の選考までは約半年程度の間隔が空く。その間にインターンシ ップの選考で自分が感じた課題を克服する時間に当てると、その後の選考が非常に楽に受 けることができるのではないだろうか。

また、選考を受けるためにはそれなりの準備が必要である。志望動機に自己PR、学生時

代にがんばったこと等。これらのことは普段の生活ではあまり気にすることもなく、何か きっかけがなければ考える機会がない。このインターンシップを境に自分自身と向き合い、

就職活動への準備をしてみるとよいかもしれない。「書く」という行為によって頭の中が整

理され、自分自身が知らなかった自分が見えてくるものである。この時期に自己分析を済 ませておけばその後の就職活動がスムーズに進むであろう。

6. 現状

第1章でインターンシップの全体像を記してきたが、実際の現状はどうなっているので あろうか。企業側と学生側の両面から明らかにしていこうと思う。

(1) 企業の現状

近年の積極採用の影響を受け、インターンシップを催す企業は年々増えてきている。 内容も様々であり、学生にとっては参加するチャンスに恵まれるという点で有利になっ たのではないだろうか。しかし、その内容や社内での位置づけにばらつきがあることも また事実である。

インターンシップを行う企業にも問題はあり、インターンシップの目的や内容の共通 理解が社員全員に行き届いておらず、特定の社員以外は学生とどう接してよいかわから ないということもあるようだ。その結果学生は多くの社員と接する機会を絶たれ、参加 はしたものの結局狭い範囲での理解しかえられないということになる。また社員がイン ターンシップについて理解しておらず、担当の社員の人数が限られている場合、担当の 社員にも仕事があるので、せっかくインターンシップに来ている学生が放って置かれる という危険性もある。実際私はプログラムの後半部分は担当社員が忙しかったという理 由で適当な課題を与えられて放置された苦い経験がある。そんな時「企業」というもの をまったく知らない私はどこまでほかの人の業務に踏み込んでよいのかもわからず、担 当社員に質問する機会にも恵まれなかったので、ただ与えられた課題をこなすという非 常に歯がゆい経験をした。そんな状況を打破できる私自身の積極性も必要だったのかも しれないが、企業側の受け入れ態勢にも更なる改善が必要であると思う。

内容そのものにも学生が1つのプロジェクトを任されるものから OJT、見学型、また

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も、数週間で業務経験をつむものだけではない。名ばかりのもので参加してみればただ の業界説明や企業説明のみであったなど以外に、雑用ばかりでただのアルバイトの延長 のようなものもあるなど、学生側にとって落とし穴が多い。特に最近増えているものが

1Day インターンシップというもので、内容は実務経験ではなくテーマを業界や企業に

絡めたグループワークなどが主である。1Day インターンシップは複数回行われること

が多く、選考も書類審査や抽選がほとんどで参加人数もOJT型のものなどに比べてとて

も多いことが特徴である。インターンシップは学生が想像しているものよりももっと多 様な形態に変化しているのである。

ここで注意しなくてはいけないことは、インターネットによって情報が手軽に手に入 れることができるようになったので、次はその集めた情報をしっかりと「選ぶ」作業に 注力するということである。このことは就職活動全般についても同様のことが言えるが、 たくさんの情報や機会に恵まれているからこそ、内容を吟味して本当に自分にとって必 要なインターンシップを受けることが大切である。もし選ぶ作業を怠り、手当たり次第 選考を受けたとしても選考を突破することは難しいし、仮に選考を突破できたとしても 期間中に目的意識を持ってインターンシップに参加することができず、せっかくの機会 を無駄にしてしまう結果になることがあるので気をつけてほしい。

(2) 学生の現状

開催企業の増加につれて参加する学生の数も当然増えて、インターンシップは特別な ものではなく一般化しつつある。認知度の高まりから、人気企業のインターンシップで は倍率は相当高くなるようだ。就職活動をする上で必ずといってよいほど何人かのイン ターンシップの経験者に出会うであろう。しかし、私が知っているインターンシップ経 験者でも全員が満足のいく就職活動を終えたわけではない。インターンシップに参加し た企業に落とされた者、なかなか内定にたどり着けなかった者もいる。

企業側が内容のばらつきならば、学生側には「意識のばらつき」が見られる。選考さ え通過すれば誰でも参加できるインターンシップなだけに、それほど高いモチベーショ ンを持っていなくても参加できる学生もいる。そうした場合、1人でも多くの優秀な学 生に出会いたい企業とモチベーションの低い学生との間に意識のギャップができてしま う。そうなると企業からすれば思った成果が挙げられないインターンシップになってし ま う し 、 学 生 に と っ て も 目 的 が な け れ ば 貴 重 な 経 験 に は な ら な い 。 こ れ で は お 互 い の

win-winの関係には程遠い。やはりここでも大事なのは学生の目的意識である。そのイン

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第2章 就職活動で役立ったこと

1. インターンシップは本当に就職活動で役に立つか

就職活動をする前の学生は「インターンシップ=就職活動に有利」であると思ってはい ないだろうか。私はインターンシップを経験し、その経験を武器に就職活動を乗り切った 1人であるからこそ、それは必ずしも正しいということではないということを伝えたい。

私がインターンシップに興味を持ったきっかけは、就職活動に有利になるからという先 輩からの勧めであった。しかし、企業研究や業界研究、自己分析などまったくしたことが ない大学3回の6月に本当に自分がやりたいことなどわかるはずもなかった。だからこそ 興味を持てない業種や内容のインターンシップには参加しようと思わなかった。参加には エントリーシートや面接など、今まで経験してこなかった企業の人事による選考を受けな ければならない。前述のようにインターンシップの選考で重視されるのはその企業のイン ターンシップに対する熱意である。やはり最大の目的である業務を経験するということを インターンシップは就職活動に有利だから経験するということに置き換えてはいけない。

インターンシップの経験が就職活動で役に立つということは、インターンシップから何 かを得ようとして自分の頭で考え、自分で行動した経験が就職活動につなげることができ るということである。明確な目的意識もなしにインターンシップに参加したのであれば当 然、その後の就職活動においてもその経験はとても役に立つものにはなり得ないというこ とを念頭におく必要がある。実際に就職活動の面接でどの企業からも聞かれたことは、イ ンターンシップでどのような経験をして、何をそこから学んだかということであった。そ してその経験を掘り下げて学生の根本にある価値観や考え方などを企業は探ろうとする。 そんなときに目的なくインターンシップに参加し、特に深く考えずに何となく行動した経 験を話したとしても自分にとって有利にはならないということは想像に難くないだろう。 大事なのは目的意識と自分で考えて行動するということである。

以下に私の実際の経験からインターンシップが就職活動で役立った点を記す。

2. 実務経験

インターンシップの最大の目的である実務経験。私の場合はもともと興味があった業界 で、かつ就職活動も同業界を中心に行ったということから、インターンシップの経験はど の企業の面接においても有利に働いた。ではなぜ実際の業務を知ることが就職活動で有利

に働くのか。それは「説得力」の違いである。就職活動の面接では自分の考えを相手(面接

官)にわかりやすく、論理的に伝えなければいけない。そんなときに例えば志望動機にして

も、一度業務を経験した上で導き出した自分なりの結論(考え)があるからこそ、この企業・

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ンシップを経験した業界であれば、より自身の話も膨らみ、説得力も増すことだろう。面 接においてはインターンシップと言うだけでほとんどの企業が興味を示すので、その上内 容にも説得力があれば面接でその経験が生きることは間違いない。

では、インターンシップで経験した業界意外には自分のインターンシップ経験は通用し ないのか。その答えは多少無責任な言い方になるかもしれないが「自分次第」と言ったと ころである。確かに「業務の経験」というたった1つの事実だけを見れば業界を変えれば 何の意味も持たないのかもしれない。しかし、その中でのある出来事に対して自分がどの ように考えて、どのように行動し、どんな結果を得たかということは自身の問題解決能力 や価値観をアピールする絶好の材料である。重要なことは「何を経験したか」ではなく、 その出来事から「何を得たか、何を学んだか」ということである。企業にインターンシッ プを経験させていただくという謙虚さは必要なことだが、それだけではなく何かを得てや ろうとする積極性こそそれほど長くはないインターンシップの期間の中では重要なことで はないだろうか。

また、インターンシップでの実務経験は面接などのネタとしてだけではなく、社会人と しての常識や礼儀などを身につけ、企業で働く人間や就職活動をしている学生はどのよう な人間なのかを知る場としても非常に有効である。同じ学生同士であってもインターンシ ップ中に出会う学生は普段一緒にいる学生とは違う雰囲気を持っているだろうし、そんな 学生や働く社会人を見て、今の自分に足りないところはどんなところなのかということを 早い段階で認識しておけば、やはりその後の就職活動に役立つはずである。全国から集ま る優秀な学生やかつて企業に選抜された先輩社員を見て、自分の現在位置を確かめること も重要である。そこで感じたことをその後の就職活動の準備に生かすことができただけで も十分にインターンシップに意味が生まれるのではないだろうか。

3. 意識

次に役立ったこと、それは就職活動に対する意識の高まりである。私の場合は6月にエ ントリーシートが締め切られ、7月に面接、そして8月にインターンシップ開始であった が、就職活動を意識し始めたのは大学3回の5月である。先輩からインターンシップの存 在を知らされ、なんとなく参加を目指し始めたのがその時期である。そのころから情報を 集め始め、選考までにやっておくべきことを学び、インターンシップの選考に備えた。イ ンターンシップの選考といっても実際は就職活動の本選考とあまり変わらないので、普通 の学生よりも早く就職活動を意識し始め、準備を始めたことになる。

そしてその年の夏休みをすべて2つのインターンシップに当てて実務経験をつんだ。た くさんの社会人と学生に会う中で、インターンシップが終わるころにはやりたい仕事やな りたい自分、そして見てみたいほかの業界などがおぼろげながら見えてきて、同じ時期の

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どの精度を高める時間に当てることができたのである。

また、意識の高まりはインターンシップで出会った友人によるところが多い。次の項目 で述べることと重複するが、インターンシップに参加する学生は総じて意識の高い学生が 多く、インターンシップ中はもちろん、インターンシップ後にもたくさんの刺激を受けた。 のんびりとした学内とは異なる環境の状況が分かるだけでも「このままじゃいけない」と いう気分になり、周りに流されることが少なくなった。大学3回生になると登校する日数 も減り、就職活動という初めての経験の中で周りが見えなくなってしまうこともあるかも しれないが、インターンシップでつながった全国の学生から多くのことを学びとることで 意識を高く保つことができるのではないだろうか。

4. 人脈

(1) 先輩社員との人脈

インターンシップで構築される人脈もその後の就職活動で大いに役立った。インター ンシップでは自分の興味のある企業の社員と知り合いになれるチャンスである。その上、 企業側はホストという立場から学生に対してある程度の歓迎をしてくれる。おそらく人 事と直接お酒を飲みに行く機会というものはないが、担当社員や所属部署の社員とお酒 を飲みに行く機会は決して珍しいことではないだろう。そこで社員の本音を聞くことが できることは確かだが、社会人との人脈はインターンシップが終わってから こそ活用す るべきものである。

そこで築いたつながりを大事にして後に OB 訪問やエントリーシートの添削をしても

らうのである。先輩社員が若ければ若いほど就職活動生としては現役に近く、また採用 方式や傾向も似ていると考えてよい。インターンシップに参加する学生を担当する社員 は総じて面倒見のよい社員が多く、最低限の礼儀をもって期間中に信頼関係を築いてい けば、このような依頼は快く引き受けてくれるであろう。特に大阪府立大学のような地 方公立大学では都心の私立大学と異なり、先輩社員の就職企業の幅が少なく、また支援

体制も十分とは言えない。このようなきっかけで大学の OB がいない企業にも自分で人

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また、人事から個人的に優遇を受けるということは難しいが例外もある。私は伊勢丹 に先輩社員がいなかったが、その旨を伝えて先輩社員を紹介してもらえないか尋ねたと ころ、原則的には個人に自社社員を紹介するということはしないということであったが、 インターンシップ生の特例ということで先輩社員を紹介してもらった。結局私はその先 輩社員の協力を得て、エントリーシートを完成させて内定までたどり着いた。人事から の紹介ということで、どこで人事に報告されているかもわからないという不安はあった が、人事から認められるほどであるから信頼できる先輩社員であることも確かである。 そのような形で人事の協力も得ることができるかもしれないということもインターンシ ップの強みである。しかしその人事の協力が必ずしも内定という形で結果に出てくるわ けではないということを頭に入れておかなくてはいけない。

(2) 学生との人脈

インターンシップに限らず就職活動の醍醐味の1つは優秀な学生との出会いである。 同じような夢を持った学生と出会うことは普段の大学生活ではそう多くない。しかし、 インターンシップを含めた就職活動ではそのような友人に出会うことが多い。中でもほ とんどの大学生が行う就職活動よりも、これから始まる就職活動に向けての意識が高い 学生が集まるインターンシップではそういった学生に出会う機会も増えるだろう。イン ターンシップ期間中はそんな学生たちと話す機会は社員と話す機会よりも多いかもしれ ない。学生同士でお互いのことを話す中で今の自分 の現在の位置を知ることもでき、自 己分析にも役立てることができる。そしてこの人脈も本当に役に立つのはインターンシ ップが終わってからである。

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いうことで私は皆さんにお勧めしたい。しかし、ここでも適切な情報を自分で有効に利 用するだけのしっかりとした考えを持つことが大切であるということを忘れないでほし い。

次に学生との人脈で有効なことは OB 訪問である。インターンシップで直接社員と知

り合うこともできるが、それはインターンシップを経験した 1 社のみの話である。他に

もたくさんOB 訪問したいが大学にはOBがいないという場合も多いだろう。ここで利

用するものが首都圏の私立大学生の OB である。首都圏の有名私立大学では府大に比べ

ると OB の数は当然だが、やはり業界の幅が広い。おそらく学内では見つからなかった

業界・企業のOBが見つかるだろう。直接コンタクトを取ることは相手 OBも驚いてし

まうと思うので、同じような志望の友人がいれば一緒に OB 訪問をさせてもらうことが

最も自然であろう。そうして自身の大学にはいない企業の OB の話を聞かせてもらい、

業界研究や企業研究に生かすことができる。さらに、本当に入社したい企業であれば先 ほども述べたように、エントリーシートの添削を依頼したり、当時の採用活動の様子を 聞いたりしても良いだろう。関東まで足を運ぶことは時間の面でも費用の面でも厳しく はあるが、友人に頼んでそのほかの選考などの予定と合わせていけばよい。面接も佳境

に入ると OB 訪問の数を聞かれてその企業への熱意を測られるということもあるので、

このようにして OB訪問をすれば実際に話が聞けるという面以外にも、面接でOB 訪問

について聞かれた際のインパクトも十分である。私は実際にこうして OB 訪問をして、

面接でも話をした。そんな効果もあってかその企業に内定を頂いた。

(15)

第3章 アンケート結果から見るインターンシップ

今回、大阪府立大学のインターンシップに対する意識を調べるという目的でアンケート 調査を行った。しかし、府大の学生は極端にインターンシップへの参加が少ないため、イ ンターンシップ自体に対するアンケート結果が得られない。そこで学外の学生にも協力し てもらい、インターンシップに対するアンケートを行うことにした。

対象:大阪府立大学経済学部4回生と学外の大学4回生で就職活動を経験した人(公務員志

望を除く)

有効回答数:40

A−1. インターンシップに参加しましたか?

a.はい(以降Bへ)

b.いいえ(以降Cへ)

A - 1 インターンシップに参加したか(学内)

15%

85%

a b

上図は A-1 の回答をグラフにしたものである。アンケートを依頼した学外の学生はイン

ターンシップ中の知り合いを含めて参加者がほとんどなので、この質問に関しては大阪府 立大学生の回答のみを示すことにする。

学内でインターンシップに参加したのは 15%のみであった。やはり予想通り、学内では

インターンシップはまだ一般的ではないようである。学内ではインターンシップに関する 情報提供が十分でないため、適切な時期にインターンシップについての情報を知ることが

(16)

インターンシップに限らず、就職活動に関する情報を早期に提供する場を学校側が設けな ければこの割合は増加しないように思える。

B−1. どのようなきっかけでインターンシップを知りましたか?

a就職情報誌 b.学内の就職課 c.企業のHP

d.その他( )

B - 1 どのようなきっかけでインターンシップを知りましたか?

6%

28%

22% 44%

a b c d

B はインターンシップに参加した学生対象のアンケートである。上図は B-1の回答をグ

ラフにしたものであり、ここではどんなきっかけでインターンシップについて知ったかを 明らかにすることを目的としている。

ここで最も多かったのが「その他」であるが、その内訳を見ると知人からの紹介が最も 多い。知人とは先輩社員や就職活動を終えた大学の先輩、または友人などである。ほとん どの学生が参加したものは夏のインターンシップであることやこうした結果から、インタ ーンシップに参加した学生は早い時期から就職についての情報を集めていたということが 分かる。

次いで多かったのが学内の就職課であるが、この回答をした全員が学外の学生であった。 特に都内の私立大学の学生が多かったのだが、学外ではこうした情報提供が成されている ことが多く、就職課が学生の就職活動を積極的に支援しているということが分かる。また、 こうした情報提供が成されているからこそ、自然と学生の就職活動への意識も高まり、学 生同士の口コミでの情報の広がりも早いのではないだろうか。

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いた。しかし、インターンシップに参加した人は直接企業のホームページを訪れて情報を 集めるという事のほうが一般的であるようだ。インターンシップの全体像をつかむには就 職情報サイトのほうが有効であるが、本当に参加したいと思う企業のインターンシップに 関しては一度ホームページを見て、インターンシップの有無や去年の情報などを参考にし たほうがよさそうである。興味のある企業があるのであれば一度ホームページの採用情報 を見てみることをお勧めしたい。

B−2. 参加したインターンシップの期間と簡単な内容を教えてください

参加した数( 社) 期間( )

内容( )

参加社数

66% 27%

0%7%

1 2 3 4

上図は B-2 の回答の参加社数をグラフにしたものである。学生1人あたりどれくらいの

数のインターンシップに参加しているのか、またはどんな形態のインターンシップに参加 したのかを明らかにした。

参加社数に関してはやはり 1 社がほとんどであるが中には複数のインターンシップに参

加している人もいた。4社と言う学生もいたが、それは1Day インターンシップと中長期

のインターンシップを含めたものであり、中長期のインターンシップでは 2 社が最も多か

った。

(18)

B−3. 参加の主な理由・目的は何ですか?(複数回答可)

a.就業体験をしてみたかった

b.夏休みなどの休暇を有効利用できるから

c.学校・先輩に勧められた

d.(ESや面接など)就職活動本番へ向けての練習

e.その他( )

B - 3 参加の主な理由・目的は何ですか?(複数回答可)

26%

15% 7%

22% 30%

a b c d e

上図は B-3 の回答をグラフにしたものである。ここではインターンシップの参加者がど

のような動機で選考に臨んだのかを明らかにした。

やはり最も多かったのが就業体験である。その他の理由にあった「適正の確認」や「業

界への興味」なども含め、「もっと知りたい、経験してみたい」という素直な気持ちが参加

の動機になったようだ。

次いで多かったのが「就職活動へ向けた練習」であった。この結果はインターンシップ の内容も重要な参加の判断基準であるという以外に、就職活動本番に向けて選考過程を経 験してみたいという学生が多いことを示している。あまり実施企業に興味がなかったとし ても、選考の様子を知るという目的でインターンシップの選考を受けてみるのも良いかも しれない。

その他の中には「内定獲得のため」「もともとその企業に就職したかったから」という学

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B−4. 実際参加してみて上記の目的は達成されましたか?いいえの方はその理由も教え

て下さい。

a.はい

b.いいえ(理由:①雑用ばかりだった ②会社説明だけだった ③短期間すぎた

④内容が複雑だった ⑤その他( ))

B - 4 参加して目的は達成されましたか?

93% 7%

a b

上図は B-4 の回答をグラフにしたものである。ここではインターンシップに参加した学

生は B-3 の目的を達成できたのか、もしできなかったのであればその理由は何なのかとい

うことを明らかにすることを目的としている。

このグラフほとんどの学生が目的は達成されたとしている。これは参加したインターン シップのプログラムに満足しているということではないだろうか。一方で目的が達成され

なかったと答えた学生の理由は「期間が短すぎた」ということであった。やはり1Day イ

ンターンシップでは企業の全体像をつかむことは難しく、就業体験という目的で参加する と少し物足りなく感じるのだろう。ある業界自体に興味がある場合は中長期のインターン シップを選択して選考を受けてみることが必要であるだろう。

B―5. インターンシップの経験は就職活動で役に立ちましたか? いいえの方はその理

由も教えて下さい。

a.はい

b.いいえ(理由:①その業界は受けなかった ②得るものがなかった

(20)

下図はB-5の回答をグラフ化したものである。ここでの目的はインターンシップの経験が 就職活動で役に立つということを示すとしたものである。

グラフを見ても分かるとおり、参加した全員の学生がインターンシップの経験は就職活 動で役に立ったと回答している。プログラムへの不満が多少あったとしても、インターン シップの選考での経験を含め、就業体験やグループワークはどれも就職活動での内容に関 係しており、これらの経験は何らかの形で就職活動の役に立ったという結果を得た。参加 を迷っている人は、一歩踏み出してみることでその後の就職活動が格段にやりやすくなる だろう。

B- 5 インターンシップの経験は 就職活動において役に立ちましたか?

100% 0%

a b

B−6. インターンシップに参加してよかったことは何ですか?(複数回答可)

a.参加企業・業界への理解が深まった b.就職活動へ向けての心構えができた

c.面接のネタになった d.全国に友人ができた

e.社会人と直接話ができた f.コネができた

g.就職活動において有利になった h.特にない

i.その他( )

下図は B-6 の回答をグラフ化したものである。この質問ではインターンシップに参加す

ることの利点を実際の参加者から聞きだすことを目的とした。

ここでは複数回答を認めたため、見事に「h.とくにない」以外の全ての回答が出揃った。

やはり最も回答数が多かったのが就業体験による「企業や業界への理解の深まり」である

(21)

ップに参加してよかったことという質問で、この項目がこれだけ多くの支持を得ていると いうことは、第2章で述べた「学生との人脈」というものが、就職活動においてどれだけ 重要かが分かってもらえると思う。

また、その他の中でも「仕事選びの基準に優先順位をつけることができた」などの回答 があり、参加企業に直接関係なくても就職活動に向けての準備ができたことを示している。

「b.就職活動へ向けての心構えができた」の結果も含めてインターンシップが就職活動の準

備に好影響を与えていることが言える。

B - 6 インターンシップに参加してよかったことは何ですか?

23%

18%

14% 19%

12% 2%

6% 0%

6%

a b c d e f g h i

B−7. インターンシップに参加した企業の選考では何らかの優遇がありましたか?差し

支えなければどのような優遇を受けたかもお答えください。

a.はい( ①別枠での採用 ②選考過程の免除 ③その他( ) )

b.いいえ

次項の上図は B-7 の回答をグラフ化したものである。ここでは直接的なインターンシッ

プと本選考の関係を明らかにすることを目的とした。

優遇がなかったとしたのは1Day インターンシップに参加した学生であり、ここでは中

長期のインターンシップに参加した学生のほとんどが選考上の優遇があったとし、インタ ーンシップと本選考の関係が明らかになった。その内容もほとんどが選考過程の免除であ り、少数ではあるがインターンシップでの直接採用や早期選考という回答もあった。

(22)

B - 7 インターンシップに参加した企業から 選考上の優遇はありましたか

67% 33%

a b

C−1. 「インターンシップ」という制度を知っていましたか?

a. はい(以降C−2へ)

b. いいえ(以降C−4へ)

C - 1 「インターンシップ」の制度を知っていましたか?

100% 0%

a b

C はインターンシップに参加しなかった学生を対象とした質問である。上図はC-1 の回

答をグラフにしたものである。この質問ではインターンシップの制度を知らずに募集の時 期を逃した学生がいるということを示そうとした。

しかし、インタ ーンシップに参加しなかった全員がインターンシップを知っていたとい

(23)

から夏にかけて)にインターンシップを知っていましたか?」というようにしていればもっ と違う結果が得られたのかもしれない。

C−2. (C−1ではいと答えた方)参加しなかった理由は何ですか?

a.参加したかったが選考で落ちた

b.実施企業に興味が無かった

c.アルバイトなど、実施期間中の予定がすでに入っていた

d.その他( )

C - 2 不参加の理由は何ですか?

13%

25%

25%

37% a

b c d

上図は C-2 の回答をグラフにしたものである。ここでは学生のインターンシップへの不

参加の理由を明らかにしようとした。

最も多かった回答が「b.実施企業に興味が無かった」「c.アルバイトなど、実施期間中の

予定がすでに入っていた」であったが、私が注目したのは「その他」の回答である。「イン

ターンシップ自体に興味がなかった」という回答もあったが、「価値がわからなかった」と

いったものや「知ったときには遅かった」「参加することが怖かった」などのインターンシ

ップへの知識不足が不参加へとつながってしまった例 があることに気が付いた。本人の就 職活動への意識の問題もあるが、やはり学内ではインターンシップ関する情報提供が十分 でないことがこの結果を招いてしまったのではないだろうか。

C−3. (C−2でaと答えた方)選考での経験は就職活動において役立ちましたか?

a. はい

(24)

下図は C-3 の回答をグラフ化したものである。ここではインターンシップの選考を経験 することで就職活動の本選考の役に立つということを示そうとした。

ここでは回答数は少なかったものの予想通りインターンシップの選考が就職活動で役に 立つという結果が得られた。第1章でも述べたように、就職活動の本選考と同じような方 法で選抜するインターンシップの選考の経験は、たとえインターンシップ自体への参加が 叶わなかったとしても貴重な経験となる。企業の人事によって行われる選考の雰囲気を知 っているか否かで初めの選考の入り方が変わってくるだろう。

C - 3 インターンシップの選考の経験は 就職活動において役に立ちましたか?

100% 0%

a b

C−4. (C−1でいいえと答えた方)インターンシップを知っていれば参加したかったと思

いますか?

a. はい

b. いいえ

ここでは、インターンシップを知らなかった学生が就職活動を終えてみて、もし知ってい れば参加したかっ たかどうかを調べる目的であった。しかし、全員がインターンシップの 制度を知っており、ここでの回答数はゼロであった。

C−5. 就職活動を終えて、インターンシップに参加していればよかったと思いますか?

a. はい

(25)

下図は C-5 の回答をグラフ化したものである。この質問は就職活動全体を終えた学生が インターンシップの優位性に気が付いたかどうかを明らかにすることを目的としていた。

私の個人的な考えではもっと多くの学生がインターンシップへの参加を望んでいると思 っていたが、結果として4割程度の学生が参加への意思を示した。インターンシップを経 験しなくても就職活動を無事終えた学生がほとんどであることからこの結果が得られたが、 この結果は約6割の学生が自分の就職活動に後悔していないということの表れでもあるの ではないだろうか。

C - 5 就職活動を終えてインターンシップに 参加していればよかったと思いますか?

43% 57%

(26)

第4章 まとめ

本論文ではインターンシップについての概要を示すと共に、インターンシップの優位性 を述べてきた。最終章では改めてインターンシップが就職活動において有利である点と学 生側の注意点をまとめていく。

インターンシップが就職活動において有利になるポイントは「実務経験」「意識」「人脈」

の3点である。実務経験では参加企業や業界の理解の促進だけではなく、その中で「自分

が感じたこと」「とった行動」「そこで得たもの」はその後の就職活動の面接においては説

得力のある内容の話をするネタになる。そして社会人としての常識や礼儀、また企業で働 く人間とはどのような人物であるのかということを学ぶよい機会である。

「意識」ではインターンシップに参加しようとすることで、大学3回の早い時期から就 職を現実的な問題として考えるようになる。その分ほかの学生よりも意思決定の時間を多 くとることができる。また、インターンシップで出会った意識の高い仲間からは期間中も その後も多くの刺激を受けることになる。就職活動が本格化するころには大学に行く機会 が減るので、その中で同じ就職活動をする学生からたくさんのことを学び取ることは自分 自身を見直すよい機会になるだろう。

「人脈」では社員と学生の 2 つの人脈がある。インターンシップで出会った先輩社員か

らは以前の選考過程の情報を聞くことができるほか、OB訪問やエントリーシートの添削を

依頼することもできる。その中でインターンシップ中には聞けなかった情報も聞きだすこ とができるかもしれない。また、インターンシップには自分と同じような夢を持った学生 が多く集まるだろう。そんな学生と一緒に研修を行う間にたくさんの話をすることになる が、お互いの話をする中でより自分の意思がはっきりして自己分析に役立つ。関東の学生 からは選考のタイムラグを利用して選考の様子を聞きだすことができ、そして特に首都圏

の私立大学の学生の OBの豊富さを利用してOB 訪問に同席させてもらうこともできるか

もしれない。そこから先輩社員との人脈を自身で広げていくことも可能であろう。

しかし、ここで注意してもらいたいことがある。このようにインターンシップには就職 活動に有利な点はあるが、就職に有利だからという理由で安易に参加することはしないほ うが良い。就職に有利だからどこかの企業のインターンシップに参加するのではなく、あ る企業のインターンシップで何かを得たいから参加するのである。この「目的」の有無が インターンシップにおいては選考時の重要な要素であり、その後の就職活動にも大きく影 響してくる。

(27)

が存在しないのであればインターンシップはただ与えられた課題をこなすだけの期間にな ってしまう。そんな中で得た経験は本選考時の企業にとっても魅力的な情報にはならない

であろう。また、インターンシップの目的は企業や業界への理解の促進であるが、もう 1

つの大きな目的が優秀な学生の囲い込みである。企業が多くの費用と労力をかけてインタ ーンシップを行うのにはそのような理由がある。学生はインターンシップ中にも選考され

ている、つまりインターンシップの評価が本選考に関わってくるということである。「目的」

なくインターンシップに参加し、何となく研修をこなしていたのであれば当然企業からの

評価は高いものにはなり得ない。まだ志望が固まってない時期に 1 つの選択肢を失うこと

は避けたほうがよいのではないだろうか。

アンケート結果からも明らかなように、大阪府立大学でインターンシップの利用率が低 いことはインターンシップへの理解の欠如が主な原因である。特に大阪府立大学では就職 課のインターンシップに関する広報活動が十分でないため、他大学に比べて情報提供が少

ないことは事実である。私はインターンシップの経験によって就職活動を成功させた 1 人

の学生として、そんな状況を少しでも改善したいという思いで本論文を執筆した。

(28)

参考URL

Bi助っ人 http://www.oohi.net/

(29)

Appendix:アンケート用紙

アンケート“ インターンシップについて” 大阪府立大学経済学部4回生 種村俊彦

※ 本アンケートの内容は、卒業論文以外に流用しないことをお約束いたします。

A−1. インターンシップに参加しましたか?

① はい(以降Bへ) ② いいえ(以降Cへ)

B−1. どのようなきっかけでインターンシップを知りましたか?

a 就職情報誌 b. 学内の就職課 c. 企業のHP

d. その他( )

B−2. 参加したインターンシップの期間と簡単な内容を教えてください

参加した数( 社) 期間( )

内容( )

B−3. 参加の主な理由・目的は何ですか?(複数回答可)

a. 就業体験をしてみたかった b. 夏休みなどの休暇を有効利用できるから

c. 学校・先輩に勧められた d.(ESや面接など)就職活動本番へ向けての練習

e. その他( )

B−4. 実際参加してみて上記の目的は達成されましたか?いいえの方はその理由も教え

て下さい。

a. はい

b. いいえ(理由:① 雑用ばかりだった ② 会社説明だけだった

③ 短期間すぎた ④ 内容が複雑だった

⑤ その他( ))

B―5. インターンシップの経験は就職活動で役に立ちましたか? いいえの方はその理

由も教えて下さい。

a. はい

b. いいえ(理由:① その業界は受けなかった ② 得るものがなかった

③ 就職活動をしていない ④ その他( ))

B−6. インターンシップに参加してよかったことは何ですか?(複数回答可)

a. 参加企業・業界への理解が深まった b. 就職活動へ向けての心構えができた

c. 面接のネタになった d. 全国に友人ができた e. 社会人と直接話ができた

f. コネができた g. 就職活動において有利になった h. 特にない

i. その他( )

B−7. インターンシップに参加した企業の選考では何らかの優遇がありましたか?差し

(30)

a. はい( ① 別枠での採用 ② 選考過程の免除 ③ その他( ) )

b. いいえ

C−1. 「インターンシップ」という制度を知っていましたか?

a. はい(以降C−2へ) b. いいえ(以降C−4へ)

C−2. (C−1ではいと答えた方)参加しなかった理由は何ですか?

a. 参加したかったが選考で落ちた b. 実施企業に興味が無かった

c. アルバイトなどの実施期間中の予定がすでに入っていた

d. その他( )

C−3. (C−2でaと答えた方)選考での経験は就職活動において役立ちましたか?

a. はい b. いいえ

C−4. (C−1でいいえと答えた方)インターンシップを知っていれば参加したかったです

か?

a. はい b. いいえ

C−5. 就職活動を終えて、インターンシップに参加していればよかったと思いますか?

a. はい b. いいえ

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